本記事の内容
- 論文式試験(2次試験)の「科目合格」制度について解説
- 科目合格におけるメリット・デメリットについて解説
本記事を書いている人
・公認会計士試験合格後、大手監査法人(Big4)及び外資コンサル等を経て、現在は独立
・1次試験は1発合格後、2次試験は2回目の挑戦で合格(※筆者も、一度論文式試験を落ちてます)
・1回目の2次試験で「監査論」について科目合格を獲得
目次
本題に入る前に
(1次試験および2次試験の内容や概要、出題される科目、合格までの流れ等)公認会計士試験の全体像について詳しく解説した記事は下記になります。
まだ試験の全体像をよく理解していない方は、以下の記事をまずは読んで頂くと、本記事の内容もスムーズに理解できるようになってます。
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1.科目合格制度(=免除科目制度)とは
2次試験には(※)「免除科目」という制度があります。(※1次試験にもありますが、1次と2次で内容が異なります。)
正式名称:論文式試験における一部科目免除資格
「免除科目」制度とは??
2次試験で受験したいずれかの科目で公認会計士監査審査会が相当と認めた得点比率以上をとった場合には、その科目は以降2年間免除となる
免除科目制度とは、2次試験全体(=6科目)でみた場合には合格に達していなくても、ある科目についての得点が相対的に高い順位をとった場合(=合格者の上位半数以上の順位をとった場合)、2次試験全体では不合格となっても、その科目については「科目合格」扱いとなり、以降2年間は受験せずに済む、というのが免除科目制度の内容です。
(例)
・1回目の2次試験で「監査論」で科目合格がとれた⇒2回目も3回目も「監査論」は受けなくてよい
・2回目の2次試験で「企業法」で科目合格がとれた⇒3回目は「監査論」および「企業法」を受けなくてよい
上記のように「監査論」と「企業法」について科目合格がとれると、その科目は受験しなくてよいので、受験生にとって『勉強の負担を減らすことができる制度』と、一般的には言えます。(※4.以降で、デメリットについても解説してます。)
2.科目合格の要件(合格基準)
科目合格の要件
ある科目で「合格者の上位半数以上の順位」がとれれば、当該科目については「科目合格」となる
「科目合格」の要件は、厳密に言うと、「公認会計士監査審査会が相当と認めた得点比率以上」をとった場合です(下記を参考に)。
引用元:CPAAOB(公認会計士・監査審査会):「公認会計士試験に関するQ&A」
上記の公表されている要件を読めば分かるように、具体的に「この点数以上」という「基準」が明示されていませんが、これは相当の順位(※)を獲得した場合と考えて頂ければOKです。
(※2次試験の合否は相対評価なので、順位によって合格・不合格が決定します。)
そして「相当の順位」とは、一言でいうと「合格者の上位半数以上の順位」です。
以下、(例)を用いて図で解説します。
(例)
・受験者数:1,000人
・合格者:600人
・あなたの総合順位:700番
・あなたの「監査論」の順位:100位
※この例では、説明をわかりやすくするため、「全体」の受験者数1,000人と「監査論」の受験者数を一致させてますが、実際には異なります。(過年度以前に科目合格をとってる方がいる、等の理由から。)
監査論について、合格者の半数以上の成績をとってますので、この場合は監査論は科目合格となります。
注意ポイント
気を付けて頂きたい点としては、科目合格の要件はあくまで「合格者の上位半数以上の順位」だということです。「受験者の上位半数以上の順位」ではない点に注意して下さい。
3.「科目合格」はあくまで選択方式
結論
「科目合格」については、受験願書の提出時に「免除申請」することで、はじめて「免除科目」となります。
つまり選択式です。科目合格をとっていても、受験したい場合は、受験願書の提出時に申請しなければ、受験することもできます。
4.科目合格のデメリット
結論
「科目合格」をとってしまった科目でアドバンテージを狙う戦略で戦おうとしていた場合には、デメリットに働いてしまうケースもなくはない
「科目合格」となった科目については、免除申請することで、その後受験することを2年間免除することができます。
つまり、本来は「科目合格」を取れれば、その後2年間はその科目を受験しなくてよいので受験生にとっては有難い制度です。
ですが、必ずしも有難いだけとは限らないのが、上記の結論に記載した「得意科目でアドバンテージを狙う戦略をとっている受験生」の場合です。
(※)可能性というのは、そもそも全科目について「不得意科目を作らない」というのが公認会計士試験を挑戦する上でのあるべき戦略だからです。
5.科目合格のメリット
先にデメリットから話しましたが、とはいえメリットも当然あります。
結論
限られた時間の中で、6科目を勉強していくのはスケジュール的にかなりハードな中、1科目でも受験しなくてよいというのは圧倒的な負担軽減になる
筆者の場合
筆者は2次試験に一度落ちており、2回目の2次試験で合格しました。
1回目の2次試験で監査論の「科目合格」が取れましたが、これは「その科目を勉強しなくてよい分、残り5科目により時間を配分できる=5科目についてもどんどん得意になっていく」という好循環を生み、大きなアドバンテージに働きました。
6.論文式試験に3回不合格だった場合の科目合格の扱いについて
結論
もし、3回目の論文式試験に不合格だった場合、もう一度1次試験からやり直しとなります。
・・・この場合は、科目免除として例えば監査論と企業法について科目合格をとっていたとしてもすべてリセットされます。
まとめ
まとめ
・「科目合格」は、合格者の上位半数以上の順位をとれてる場合に、その科目を以降2年間受験しなくてよくなる制度
・しかしあくまで「選択式」なので、自分で申請する・しないの選択が可能
・基本的には、科目合格はアドバンテージとなる
・その根拠は「その科目は勉強しなくてよいため、その分、他の科目に時間を使える」ため
・ただし、得意科目を失い、かつ、苦手科目がある(もしくは多い)場合にはマイナスに働いてしまうこともなくはない
・よって、日頃の勉強から「いかに苦手科目を作らないか」が非常に重要
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